これまでのガイドラインでは, C4症例については深部静脈血栓症慢性期の血栓後症候群の治療や予防について記載はあるが, 慢性静脈不全症 (CVI) によるC4症例に対する圧迫療法の有用性は明確になっていなかった. CQ 4は, 慢性静脈不全症によるCEAP分類C4症例に対する圧迫療法の有用性について明らかにするために設定されたClinical Question (CQ)である.うっ滞性皮膚病変に対する圧迫療法のエビデンスはランダム化比較試験1編が認められた. 圧迫療法はうっ滞症状の改善, 脂肪皮膚硬化症 (LDS) の面積縮小に有効である可能性が高いことが示された. 以上より, 静脈疾患における圧迫療法ガイドラインでは, CVIによるうっ滞性皮膚炎 (推奨クラスIIa,エビデンスレベルC), およびLDS (推奨クラスIIa, エビデンスレベルB) に圧迫療法を行うことを推奨する. 実際の治療では, 多層包帯法や弾性ストッキングを用いて, 35-45 mmHgを目標に圧迫療法を行うことが効果的であり, 病状を観察し, 皮膚病変管理を行ったうえで患者に最も適した圧迫方法を導入するが, 治療期間が長期にわたるため状況に応じた圧迫療法の継続とアドヒアランスが重要である.