2022 年 2022 巻 4 号 p. 128-133
学習者用デジタル教科書は,特別な配慮を必要とする児童生徒がアクセシビリティ機能を使用することにより,教科書の内容へのアクセスが容易となることが報告されている.一方,学習にはワーキングメモリ(以下,WM)が影響を及ぼし,WMの困難さの報告が多数あるが,既存のアクセシビリティ機能はWMの困難さに特化したものとはいえない.そこで本研究では,WMの困難さを対象としたデジタル教科書のアクセシビリティ機能について分析し,実装する指針について検討することを目的としている.教科はWMが密接に関係する数学科とした.先行研究によりWMの困難さがある子供が数学科の内容を理解するためには,補助となる視覚的な情報を用意することが有用であると考えられた.よって,これを踏まえて現行の教科書を分析を行った.本発表では,現行教科書を用いて行った分析結果及び想定される必要な癖しビリティ機能について報告する.