2024 年 2024 巻 1 号 p. 171-176
対面型授業では,受講者は聴覚情報と視覚情報を統合し音韻知覚を通じて学習を行っているものと考えられる.これまで我々は,授業中に授業者と受講者の顔が向かい合うことが,受講者の記憶を向上させるという結果を得た.しかし,受講者の視線にかかわらず授業者が受講生側を向きさえすれば,記憶向上が見られるという例が多く観察された.これは教室において発話者の顔の向きにより,音響的な特性が変化することに関係するのではないかと考えた.そこで音声の違いが受講者の記憶にどのような効果を与えるのか,音声の違いから授業者の体の向きを推定することができるのかを調査したので報告する.