2024 年 2024 巻 2 号 p. 171-178
本報告では,大学を基盤とする教師教育者の職能成長,専門的な学びの支援に関わるヨーロッパでの取り組みに目を向けている.その目的や進め方に特徴的な違いがあるオランダとノルウェーの大学での取り組みを取り上げ,プロジェクト報告等を通してその推進リードしてきたそれぞれの中心人物から聞き取りを行った.結果,教師教育者の職能成長の支援は,教師の教師としての教師教育者の役割を拡張し,研究者としての新たな役割を探求することに価値を置く傾向や,従来の学術モデルに近く教育,研究,大学への貢献に価値を置く傾向など多様に展開されていた.その背景には,国の教育政策,誰がその国の教師教育者として存在してきたかといった歩み,教師教育者コミュニティのアイデンティティの確立などが,教師教育者の職能成長支援に影響していることが明らかになった.