2025 年 2025 巻 2 号 p. 147-152
協調的議論における知識収束の分析は,具体や抽象の状態数を固定して分類する手法が一般的であり,その妥当性は十分に検証されていなかった.本研究では,この問題を解決するために,発言に含まれる単語の抽象度データに対して,ノンパラメトリックベイズ法を用いた潜在クラスタ数推定を実施した.「シアワセとは何か」を議題とする6グループの議論を分析した結果,すべてのグループにおいて潜在クラスタ数は2つに収束することが示された.本研究は,これまで定性的に扱われてきた議論中の具体や抽象の状態数を定量的に分析する手法を提供するものである.