日本教育工学会研究報告集
Online ISSN : 2436-3286
高等学校情報科における科学的コンセンサスに基づくメディア情報評価能力の実態
―糖尿病の治療法をテーマにして―
大浦 弘樹河合 絢也望月 俊男安井 弘光Clark A. Chinn山口 悦司
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2025 年 2025 巻 4 号 p. 82-86

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抄録

現代社会ではソーシャルメディアを中心に誤情報の拡散が問題となっている.だが,高校生の情報評価が科学的コンセンサスの記述の有無やテキストや動画媒体によってどのように変化するかは明らかになっていない.そこで本研究では,ある私立学校の高校1年生を対象に,糖尿病の治療法をテーマに,専門学会のコンセンサスに基づいた説明に,その説明がコンセンサスに基づくことが明示されている文章または明示されていない文章(被験者間要因:コンセンサス明示要因),およびコンセンサスに基づかない説明が含まれる文章または動画を閲覧する(被験者間要因:メディア要因),計4条件による無作為化実験を行った.事前知識のスコアを共変量とした共分散分析の結果,2種類の情報評価に対してメディア要因に有意性が確認され,コンセンサス明示条件には一部有意傾向が確認された.本稿では,本実験の手続きと結果の一部を報告し,高等学校情報科への示唆を考察する.

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© 2025 日本教育工学会
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