日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
原著論文
ラ・フランス香気成分の界面前進凍結濃縮
飛塚 幸喜安食 雄介野内 義之宮脇 長人
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 11 巻 1 号 p. 31-36

詳細
抄録
凍結濃縮は加熱を伴わないマイルドな濃縮手法であるため,香気成分など熱に不安定な物質の濃縮に適している.そこで我々は界面前進凍結濃縮法による,西洋ナシ(ラ・フランス)香気成分の濃縮を試みた.
ラ・フランス果汁を減圧蒸留してラ・フランスの香気成分を含む凝縮水を採取した.得られた凝縮水を界面前進凍結濃縮し,ラ・フランス香気成分を濃縮した.凝縮水を体積比で11.5倍に濃縮したところ,主なラ・フランス香気成分(酢酸ブチル,酢酸ヘキシル,その他)の濃度は,およそ10~11倍前後となり,理論値に近い濃縮率となった.一方,界面前進凍結濃縮操作で生成した氷に取り込まれた香気成分量は,多いものでも投入量の3%未満であった(1-プロパノールで約2.4%,1-ブタノールで約2.8%).界面前進凍結濃縮法により,ラ・フランス香気成分は効率良く濃縮されることがわかった.
著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本食品工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top