2016 年 8 巻 1 号 p. 29-44
本研究では,近年,「社会的な流行」ともなっている日本における「グローバル人材」という議論の歴史的展開やその中身について吟味をおこなっている。その吟味を通して,日本の「グローバル人材」の議論や政策が,欧米の「グローバルタレント」,「グローバルリーダーシップ」とは異なり,日本的な特殊な議論・政策となっている点を明らかにすることにしている。その上で,近年,日本多国籍企業においても展開しつつある「グローバルタレントマネジメント」の運用実態について紹介・分析し,日本多国企籍業の「グローバルタレントマネジメント」の特殊性について論究をおこなっている。そして,そうした「日本のグローバル人材」に関する議論・政策や日本多国籍企業の「グローバルタレントマネジメント」の特殊性の中,外国人高度人材(特に外国人留学生)・日本人海外留学経験者の確保・定着・育成問題について分析をおこなっている。