日本食品工学会誌
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原著論文
モモ果実香気成分の界面前進凍結濃縮
飛塚 幸喜安食 雄介野内 義之宮脇 長人
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2010 年 11 巻 3 号 p. 141-145

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抄録

凍結濃縮は加熱を伴わないマイルドな濃縮手法であるため,香気成分など熱に不安定な物質の濃縮に適している.そこで我々は界面前進凍結濃縮法による,モモ香気成分の濃縮を試みた.
モモ果汁を減圧蒸留してモモ香気成分を含む凝縮水を採取した.得られた凝縮水を界面前進凍結濃縮し,モモ香気成分を濃縮した.凝縮水を体積比で11.6倍濃縮したところ,主なモモ香気成分(γ-デカノラクトン,(E)-2-ヘキセン-1-オール,1-ヘキサノール,(Z)-3-ヘキセニルアセテート,その他)の濃度は,およそ8~12倍前後となり,比較的理論値に近い濃縮率となった.一方,界面前進凍結濃縮操作で生成した氷に取り込まれた香気成分量は,最も多いものでも投入量の約0.5%であった((E)-2-ヘキセン-1-オール).界面前進凍結濃縮法により,モモ香気成分は効率良く濃縮されることがわかった.

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© 2010 一般社団法人 日本食品工学会
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