2020 年 59 巻 6 号 p. 299-304
背景 : 子宮内膜細胞診は子宮体癌のスクリーニングとして行われている検査である. 卵巣癌の有用なスクリーニング法は確立されていないが, 子宮内膜細胞診で卵巣由来の腫瘍細胞を指摘される例がみられる.
症例 : 症例 1 : 58 歳, 女性. 子宮内膜細胞診が悪性であり子宮体癌の疑いで当科を受診した. 組織診や画像検査で悪性を疑う所見はなかったが細胞診の結果との乖離があり, 手術を施行した. 最終診断は左卵巣漿液性境界悪性腫瘍であった. 症例 2 : 51 歳, 女性. 持続する咳嗽と動悸を主訴に前医を受診し, 画像と生検結果より悪性胸膜中皮腫の診断で加療を受けた. 組織診の再検討で婦人科腫瘍が疑われ当科へ紹介となった. 子宮内膜細胞診が悪性であり, 手術を施行した. 肉眼的には病変を指摘できなかったが, 病理検査で左の卵管采と両側卵巣表面に腫瘍細胞を認め, 卵巣高異型度漿液性癌 Stage ⅣB と診断した.
結論 : 画像検査で診断にいたらなかったものの子宮内膜細胞診が診断の契機となった卵巣悪性腫瘍の 2 例を経験した. 細胞診で腫瘍性背景を伴わない集塊状の腫瘍細胞を認めた場合は, 子宮外病変の可能性も念頭において治療にあたるべきである.