日本食品工学会誌
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原著論文
2バイトテクスチャー試験(TPA)で得られるパラメータと超音波パルスドプラー法で求められる咽頭部流速との関係
谷米(長谷川) 温子小倉 聖美秋間 彩香神山 かおる熊谷 日登美熊谷 仁
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2013 年 14 巻 2 号 p. 87-96

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抄録
2-バイトTPA(Texture Profile Analysis)試験から求められるパラメータと咽頭部通過時の食物の流速との関係について検討した.TPA試験は,厚生労働省の「えん下困難者用食品」の基準法に準拠して行ったが,プランジャー速度については,基準にある10 mm/sに加えて1 mm/sについても検討を行った.得られたTPA曲線から3つのパラメータ「硬さ」(hardness),「付着性」(adhesiveness),「凝集性」(cohesiveness)を求めた.咽頭部の流速は,超音波パルスドプラー法により測定した.3つのパラメータの中では「硬さ」が,誤嚥の危険性の尺度と報告のある咽頭部最大流速Vmaxとの相関が最も高く,嚥下困難者用介護食の指標として適していると考えられた.一方,「凝集性」は,試料の性状によって変化し,咽頭部流速分布との相関がみられなかった.このことは,「えん下困難者用食品」の基準にある試料を円筒容器に入れての測定が液状の試料には妥当でないことを示唆している.3つのパラメータに対するVmaxのプロットの形はプランジャー速度10 mm/sと1 mm/sであまり変わらなかった.このことから,TPA試験におけるプランジャー速度に関しては,装置依存性があまりないという報告のある1 mm/sの方が10 mm/sより適していることが示唆された.
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© 2013 一般社団法人 日本食品工学会
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