日本食品工学会誌
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原著論文
泳動濃縮および画像解析を併用した飲料混入菌の定量計測
高瀬 亜希圓城寺 隆治内田 諭
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2013 年 14 巻 2 号 p. 97-106

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抄録
近年,食品産業界では,製造工程中における細菌の混入事故を防止するため,HACCP方式などのより厳格な衛生管理手法の導入が進められている.当該方式による衛生検査では膨大な処理数が必要となるため,迅速性,簡便性および経済性を有する新たな細菌検査手法が要求されている.現状を踏まえ著者らは,電気計測法の一種である誘電泳動法に注目し,実飲料中の模擬混入菌に対して泳動濃縮と蛍光画像解析による定量計測の妥当性を検証した.実験の結果,S. cerevisiaeの菌計測数は,検出誤差15%以内で評価することができた.実飲料に対する濃縮特性において,検体の導電率および駆動周波数を変動させた場合,細菌の誘電特性の変化に従い捕集菌数に差異が生じた.また,媒質成分が捕集菌数の変動に影響を及ぼし,とくに低菌濃度条件において顕著であることを確認した.さらに,計測時における流量特性を精査することにより,精度の高い捕集菌数の評価が可能になることを示唆した.
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© 2013 一般社団法人 日本食品工学会
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