日本食品工学会誌
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原著論文
フローサイトメトリーと多変量解析による緑茶飲料中の大腸菌数推定
蔦 瑞樹佐々木 康彦竹内 郁雄中本 英樹石川 淳川崎 晋杉山 純一藤田 かおり吉村 正俊柴田 真理朗粉川 美踏
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2014 年 15 巻 3 号 p. 157-164

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抄録

緑茶飲料に様々な希釈倍率の大腸菌溶液を添加し,フローサイトメトリー(FCM)と培養法による大腸菌数測定に供試した.FCMでは,多重染色した菌および他の自家蛍光物質が発する蛍光をA,B,Cチャンネルの検出器で検出し,各チャンネルの電圧値をイベントとして記録した.FCMの従来法として,死菌の蛍光にのみ対応するBチャンネルの電圧が0で,A,Cチャンネルの電圧が閾値を超えたイベントの数を計数し,大腸菌数の予測値とした.また,A,Cチャンネルの電圧のヒストグラムを,あらかじめ定めた最適な階級幅を用いて作成し,水平に結合した.これにPartial least squares(PLS)回帰分析を適用し,大腸菌数を推定する検量線を作成した.FCMの従来法において,大腸菌数推定値の誤差の標準偏差(RMSE)は1.09-1.15 [log10 cfu/ml]であった.一方,PLS回帰分析による大腸菌数推定のRMSEは0.51 [log10 cfu/ml]であった.以上より,提案法により一般生菌数を高精度に推定可能なことが示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本食品工学会
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