日本食品工学会誌
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解説
蛍光指紋情報のデータマイニングによる食品品質評価
蔦 瑞樹
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2017 年 18 巻 2 号 p. 87-92

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抄録
本稿では,蛍光指紋のデータマイニングや, データマイニングのフローサイトメトリーデータへの応用による食品の品質評価について, 筆者らの研究を概説した. サトイモの蛍光指紋にデータマイニングの一手法である正準判別分析を適用すると, 産地判別の従来法である微量元素濃度分析や安定同位体比分析と同等の精度で日本産と中国産を判別できることを明らかにした. また, 大腸菌数推定を目的とした緑茶飲料のフローサイトメトリーで得られる蛍光シグナルのヒストグラムにpartial least squares回帰分析を適用すると, 従来法よりも偽陽性・偽陰性を低減し高い精度で大腸菌数を推定できることを明らかにした. また, 近年注目を集めているメタボロミクス研究と蛍光指紋では, データマイニングを用いて対象の品質推定や寄与成分を探索するという解析手法が共通している. そのため, データマイニングを手がかりとして, 蛍光指紋とメタボロミクスデータを統合する, あるいは比較してより詳細かつ総体的に食品の品質評価を行う研究の展開が期待される.
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© 2017 一般社団法人 日本食品工学会
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