日本食品工学会誌
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技術論文
アルギン酸-ヨシキリザメPrionace glauca肉複合ゲルの性状
齋藤 俊樹髙橋 希元天野 かよ岡﨑 惠美子大迫 一史
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2018 年 19 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

低利用資源であるヨシキリザメ筋肉を有効利用するためにアルギン酸ナトリウムを添加し,塩化カルシウム溶液に浸漬することでタンパク質-アルギン酸複合ゲルを調製し,その低いゲル形成能の改善を試みた.本種筋肉に3%以上のアルギン酸ナトリウムを添加し,1%塩化カルシウム溶液に浸漬することでゲルの破断応力が有意に向上することが明らかとなった.一方で,アルギン酸ナトリウムの添加によりゲルの破断歪率は減少し,アワビと似た物性を示すゲルが得られた.SDS-PAGEの結果より,多量体の形成が確認された.以上の結果から,本研究で用いた手法により,ヨシキリザメ筋肉を用いてアワビ様の特有な食感を有する新規練り製品を開発できる可能性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本食品工学会
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