日本食品工学会誌
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原著論文
食品用プラスチック容器包装における発泡メカニズム
井上 保塩野 剛伊與田 浩志
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2018 年 19 巻 3 号 p. 145-150

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抄録

プラスチックの包装には,加熱と冷却で接着が完成できるヒートシール技術が適用されている.プラスチックのフィルムやシートを使った包装材料では,透過成分のバリア性や剛性の調節のために数種のフィルムを貼り合わせるラミネーションが行われる.ナイロンなどの親水性の材料では水分のような揮発成分を層内に保有するものもあり,ヒートシールによって高温下に曝されると気化し,溶着層で発泡を起こす.発泡はヒートシール面の美観を損ねるばかりでなく,ヒートシール性にも影響を及ぼすことが知られている.

本研究では,レトルトパウチを試料とし,発泡に与える水分の影響について実験的に調べた.フィルムの材料構成は,透明蒸着PET12μm/ONY15μm/CPP60μmとした.その結果,発泡は,含水率が低いほど起こりにくいこと示した.低湿度の環境下で保管することが有効であることが示唆される.加えて,水分吸着等温線,粘弾性,バリア性を考慮し,発泡のメカニズムについて解析を行った.

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© 2018 一般社団法人 日本食品工学会
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