2019 年 20 巻 1 号 p. 7-14
2015年および2016年に収穫されたリンゴ‘ふじ’576個の可視-近赤外分光スペクトルをリンゴ用の選果機により取得した.スペクトル取得1ヶ月後に試料の切断面をスキャンし,内部褐変発生の有無を判定した.選果機に搭載されている上部・下部の分光器で取得したスペクトルそれぞれについて,新規に考案した総当たり差吸光度を含む様々な前処理を適用し,partial least squares discriminant analysisにより内部褐変発生の有無を予測するモデルを構築した.上部,下部それぞれについて誤判別率が最小となるモデルを組み合わせた「メタモデル」を構築したところ,誤判別率19.8%,感度88.6%,特異度78.1%の精度で内部褐変発生を予測可能であった.本研究では実際にリンゴの選果施設に導入されている装置を用いた.したがって,本研究の成果は容易に選果現場に応用可能であり,‘ふじ’の付加価値向上に寄与することが期待される.