2019 年 20 巻 1 号 p. 15-20
馬鈴薯澱粉にパルミチン酸を添加し,加熱処理により難消化性を付与させた澱粉についてX線回折法(XRD)による分析と,澱粉と複合体を形成しうる脂肪酸量の定量を行い,両者の関係から澱粉-脂肪酸複合体形成に伴う分子構造変化について調べた.XRD分析において,脂肪酸添加により2θ=13, 19°付近に新たなピークの出現が確認された.新たな2つのピークが加熱温度上昇に伴い増加する内部脂肪酸量と強い正の相関を示したことから,澱粉-脂肪酸複合体由来の構造を反映したピークであることが示唆された.