2019 年 20 巻 2 号 p. 71-79
だしを添加したゼリーについて物性計測と官能評価を実施し,その品質評価について統計的解析手法を用いて検討した.5種のゼリーについて,テクスチャー試験による粘弾性計測と女子大生による官能評価を行い,物性3項目の計測値とおいしさ評価スコアとともに計6項目の評価スコアを得た.偏相関分析において,官能評価のおいしさ,ゼリーのかたさ,だしの香りの強さおよびだしの味の強さの間に高い相関があることがわかった.線形関係と仮定したおいしさ評価スコアと官能評価による品質特性スコア間の相互関連性をPartial Least Square (PLS) 回帰分析により探索し,R2=0.99を示す回帰式を得た.Variable Importance in Projection (VIP) 値の順位から,ゼリーのおいしさには食感に関連する項目よりも,味や香りに関する項目の方が高い寄与度を示すことがわかった.しかし,非線形関係にあるデータセットの評価には,非線形関係を柔軟にモデル化可能なPLS回帰分析以外の統計解析手法を適用する必要があると考えられた.