2019 年 20 巻 3 号 p. 99-105
クロマトグラフィー分離の温度依存性を解析することは,分離の最適化のみならず新規分離剤や分離プロセスの開発に関連して重要である.等組成溶出クロマトグラフィーピークの保持容量から得られる分配係数Kを利用したvan’t Hoffプロットと等量滴定熱量計(ITC)によりクロマトグラフィー分離の温度依存性を解析する方法を検討した.モデル分離系は2種類のポリフェノールのエタノール水混合溶液移動相によるポリマー充填剤クロマトグラフィーである.ITC測定における分配係数の算出方法を提案した.ここで使用したモデル系においてどちらの方法から得られたエンタルピーは,ほぼ一致した.また,それぞれの方法固有の問題点と誤差の原因についても論じた.これらをよく理解して相補的な方法として使用することが望ましい.