日本食品工学会誌
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原著論文
3Dフードプリンターで造形される巨視的な3次元構造による介護食品などに適した軟質食品の食感設計とその効果
堀内 真美赤地 利幸川上 勝古川 英光
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2021 年 22 巻 4 号 p. 119-134

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抄録

本研究では,介護食品などに適した軟質食品について,3Dフードプリンターで造形した巨視的な3次元構造が食感に与える影響を検討した.まず,硬さの異なる2種の軟質食品を用いて3D造形を行い,造形特性を評価した.その結果,2種の軟質食品は均一化することなく造形前の物性が造形物の中でも保持されること,造形の方向が造形物の力学特性に影響することがわかった.次に,繊維構造と層構造を造形し,これらの構造に特異的な食感を発現させることができるか検証した.その結果,3Dフードプリンターでの造形により,軟らかい食品であっても,繊維構造や層構造の力学特性を再現できることが示された.さらに,これらの構造により,人が有意に識別できるレベルで繊維状や層状の食感を発現させられることがわかった.以上のことから,3Dフードプリンターで造形される巨視的な3次元構造により,軟質食品の食感を制御することができる可能性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本食品工学会
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