2022 年 23 巻 1 号 p. 35-44
人口増加への対策として,植物ベースの新たなタンパク源の確保が課題となっている.本研究では,大豆を利用した代替肉の作製を実施した.大豆粉をベースとしてアルギン酸,繊維,油脂などを原料とし,凍結後にカルシウムによる架橋処理を施しゲルを作製した.このゲルに再度凍結・解凍,タンパク質溶液の浸潤・ゲル化を施すことで,層状の肉様組織化構造物を作製した.そして,冷凍による組織状構造の形成挙動や,繊維の有無が構造物の物性に及ぼす影響を明らかにした.また,官能評価から,食感は木綿豆腐よりも有意に好まれ,より畜肉に近かった.これらの結果から,提案した新規構造物作製法は,より畜肉に近い食感を有する大豆ベースの代替肉の製造手段として有望であることが示唆された.