日本食品工学会誌
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原著論文
米菓の飲み込みやすさの解明に向けた食塊構造の可視化
山谷 健太伊藤 克洋竹井 亮髙橋 肇勝野 那嘉子西津 貴久
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2022 年 23 巻 1 号 p. 25-34

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抄録

米菓は昨今,臨床医療分野において,咀嚼能力テストなどにも用いられており,米菓を喫食した際の人の咀嚼動態に着目した研究が報告されている.本研究では,米菓側の挙動に着目し,咀嚼段階ごとの食塊の内部構造を可視化することで,飲み込みやすい米菓食塊の特徴について考察した.まず,ビーズ式破砕機を用いて,飲み込みやすさの異なる米菓10種の人工食塊を調製した.人工咀嚼時間ごとの食塊の構造変化をX線CTスキャナにより可視化し,物性はテクスチャーアナライザーにより測定した.凍結乾燥により,咀嚼の各段階で酵素反応と唾液吸水を停止させた,人工食塊の内部構造の可視化が可能となった.人工食塊の構造特徴は3種あり,飲み込みやすさと凝集性の間には正の相関があった.飲み込みやすい米菓とは,唾液浸透が速く,咀嚼後期では溶けて流動性があるもの,あるいは咀嚼後期まで残留した米菓片を溶解した澱粉が覆い,まとまった食塊となるものであった.

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© 2022 一般社団法人 日本食品工学会
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