日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
解説
高圧処理の調理効果に着目したおいしさとサスティナブルを両立する惣菜製造の検討
中本 大介上地 利征田中 由美相羽 孝亮杉浦 華代石川 翔子仲沢 萌美菊地 美里
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 23 巻 4 号 p. 109-113

詳細
抄録

多くの惣菜は鮮度保持期間が短く,フードロスの要因となっている.これまで鮮度保持期間を延長するために一般的に用いられてきた加熱殺菌は,熱変性によるフレッシュ感の低下や,具材の褐変が課題となる.上記課題を解決するため,加熱によらない新たな静菌手法として高圧処理に着目し,研究を開始した.長い歴史をもつ加熱殺菌と比較し高圧処理の知見は少なく,商品設計,安全性の担保,品質管理の運用など,実用化までには多くの試行錯誤を要したが,各種試験を積み重ねることで,国内で初めて高圧処理技術を市販用惣菜の分野で実用化する「冷圧フレッシュ製法®」を確立することができた.当技術の活用を進めることでフードロス削減への貢献および環境面への貢献も期待できる.当技術は当社としては現在惣菜分野での活用だが,広く食品分野で技術展開が可能であるため,将来的に主流の食品処理方法の1つとなるよう確立を目指していきたい.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本食品工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top