日本食品工学会誌
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解説
噴霧乾燥法および分子包接法による機能性食品粉末の創製技術の確立
吉井 英文
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2022 年 23 巻 4 号 p. 97-108

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抄録

生理活性を有する機能性食品化合物は,光,熱,酸素などに対して不安定である.そのため機能性食品とフレーバーのシェルフライフを延ばすために,賦形剤と乳化剤を用いて粉末化されている.この粉末化技術は,物理的方法(噴霧乾燥,凍結乾燥,押し出し,結晶変換),化学的方法(分子封入,コアセルベーション),および菌体法(酵母およびその他の細胞)の 3つの方法に分類される.種々の粉末化技術の中でも,噴霧乾燥法は,粉末が一ステップの操作で連続して得られるために低コストで作製できる.噴霧乾燥技術のプロセスは,乳化操作と噴霧乾燥操作からなる.この乳化操作は,粉末の表面油率に大きな影響を与える.シクロデキストリン(CD)を用いた分子包接は,多価不飽和酸などの疎水性機能性食品化合物をCDの空孔に包接しカプセル化する方法である.本解説では,機能性脂質の粉末化における機能性脂質の安定性に及ぼす油滴径と粒子径の影響について説明した.また, 1-メチルシクロプロペンなどのフレーバーやガスのCDを用いた粉末化手法について概説した.

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© 2022 一般社団法人 日本食品工学会
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