2022 年 23 巻 4 号 p. 115-130
本研究では,食品や農産物の総合的な品質情報へのマルチバンド光センシング技術の応用および食品加工操作への電磁波の利用を目的とし,マルチバンド光センシングの多面的な特性とその食品加工プロセスへの応用の可能性に着目した.その結果,マルチバンド光センシング手法は,遺伝子発現や代謝関連物質などのミクロの生物情報と代謝によって発言する外観などのマクロの生物情報を結びつけるための計測手法として有効であることが示された.また,そのセンシング手法は,科学的かつ客観的な情報に基づいた食品加工への展開に可能なものと考えられた.さらに,乾燥,殺菌操作における電磁波利用に関する装置設計や操作条件決定に対して重要な指針を提示するとともに,新規食品加工法への展開が示唆された.以上より,本研究の成果は,マルチバンド光センシング情報に基づく高度な食品システムの開発に寄与できるものと考えられた.