日本食品工学会誌
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食品エマルション中の油滴表面におけるタンパク質の相互作用
松村 康生
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2001 年 2 巻 3 号 p. 87-95

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抄録

実際の食品エマルションには, タンパク質が乳化剤・安定化剤として多く用いられている。したがって, エマルション油滴表面におけるタンパク質の構造や状態を把握し, それらの変化がエマルション全体の性質に与える影響を明らかにすることは, 極めて重要である。本論文では, タンパク質がエマルション中の油滴表面において, 他成分, とくに脂質成分とどのように相互作用するのか, またそのような相互作用がエマルション物性にどのような影響を与えるのか, 著者のグループの研究例を中心に報告した。前半では, 油滴中に生じた油脂結晶が, 油滴表面のタンパク質の存在状態に影響を及ぼし, 最終的にクリームの物性変化を引き起こすメカニズムについて詳述した。後半では, 乳清タンパク質が卵黄成分によって油滴表面から置換される現象について解説し, とくに温度が置換反応に大きな影響を与えることを指摘した。

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