日本食品工学会誌
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ポリグリセリン脂肪酸エステルの物理化学特性と食品への応用
加藤 友治
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2002 年 3 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

ポリグリセリン脂肪酸エステルは非イオン性界面活性剤であり, 食品や化粧品および各種工業に広く使われている.しかし, 一般の商品は, グリセリンから高重合グリセリンまでの様々な重合度のグリセリンと, 様々な鎖長の脂肪酸からなるエステルであり, しかもそのエステル化度も変化するなど, 非常に複雑な構成を示す混合物である.そこで高純度のポリグリセリンモノラウレートを合成し, その水溶液の表面張力, 起泡性, 界面張力, 洗浄力, 浸透力, 可溶化力について調べたところ, ポリグリセリンおよびモノエステルの純度が高ければ, 低重合度のトリグリセリンモノラウレートエステルでも親水基と疎水基のバランスにより界面活性が最大となった.一方, 工業的に製造された60%以上のペンタグリセリンを原料とする高度精製ポリグリセリン脂肪酸エステルは, 各種の評価試験において優れた性能を示した.高度精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを使ったミクロエマルション製剤「スーパーエマルジョン」と油脂の固化・増粘および粗乳化を可能にする油脂改質剤「TAISET」についてその特徴を解説した.

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