日本食品工学会誌
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凍結融解法による凍結濃縮に及ぼす食品成分の影響
イー パンライ脇坂 港白井 義人ハッサン モハメッドアリ
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2003 年 4 巻 3 号 p. 77-83

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抄録

凍結融解法による凍結濃縮に及ぼす食品成分 (NaClや糖類, ミルクタンパク) の影響について本研究では検討した.凍結融解法による凍結濃縮は, 溶液をいったん完全に凍結させたのちに融解させるため, 溶液を部分的に凍結させて濃縮を達成する従来の凍結濃縮と概念を異にする.凍結させたサンプルを10℃のチェンバーで融解させることによって濃縮液画分が得られた.濃度の異なる各食品成分サンプルを融解したときの融解速度はまちまちであった.溶質濃度は, 溶液の凝固点降下に影響する.成分濃度1~20%の各食品成分の凍結融解法による濃縮を評価する指標を導入した.1%のNaCl, グルコース, フルクトース, ラクトース, スクロース溶液は, 最初のフラクションで4~5倍に濃縮された.ただし, デキストランの場合は2.5倍であった.各成分濃度炉上昇するに伴い, 濃縮効果は低減した.しかし, デキストランとミルクタンパクの場合にはその凝固点降下が小さいことから, 高い濃縮効果は得られなかった.

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