日本食品工学会誌
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トマトのMA包装内における酸素と二酸化炭素濃度の変化予測
Suparlan伊藤 和彦
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2004 年 5 巻 3 号 p. 177-185

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抄録

トマトを10℃でMA包装貯蔵した場合の包装内の酸素濃度と二酸化炭素濃度の変化を予測するモデルを作成した.このモデルは簡単な数学モデルと酵素反応速度論に基づく呼吸モデルを用いて作成した.トマトの呼吸モデルは閉鎖系でCO2による呼吸作用の抑制がないことを前提として, Michaelis-Menten式を利用して作成した.パラメータとしてフィルムの酸素および二酸化炭素透過率, フィルム表面積, 包装内空気量, トマトの質量, トマトの呼吸速度を用いた.数学モデル式はRunge-Kutta法を利用して解き, 作成したモデルの有効性を2種類の実験を行なって検証した.1つは約0.24kgの試料を入れた容器内の上部を表面積0.01m2のフィルムで覆い, 他の実験は試料約0.55kgを用い, 表面積0.02m2のフィルムで覆い, 容器内の酸素および二酸化炭素濃度の経時変化を測定し予測値との比較を行なった.その結果, モデルは容器内の酸素・二酸化炭素濃度の予測に有効であることを明らかにした.本研究で検討した簡単な呼吸モデルは, トマトのMA包装に応用することが可能であることが明らかになり, これを利用することにより, 嫌気呼吸によるトマトの品質低下を防ぐ最適包装貯蔵条件を予測することが可能であると考えられる.

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