日本食品工学会誌
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酵素分析法に基づく中性脂肪測定用多層分析フイルムの開発
村谷 浩二新井 貴喜石崎 慶一瀬志本 修
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2004 年 5 巻 3 号 p. 187-196

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抄録

富士ドライケムスライドは酵素分析法を応用した臨床血液検査用システムである.病気の診断を行う際, 血液中の生化学物質, 酵素濃度を定量するために使用される.当社が採用しているシステムはドライ法であり, 測定対象物質毎に異なる発色反応系が組み込まれていて, 必要な酵素, 色材等の試薬が乾燥状態で1枚のスライド中に保持されている.血液中の中性脂肪 (TG) は肥満や心疾患との関わりから, 注目を集めている指標である.TGの測定原理にはデヒドロゲナーゼ法とオキシダーゼ法があり, 従来の当社製品はデヒドロゲナーゼ法を採用してきたが, 発色反応に関与する酵素が高価であったため, 種々の制約があった.そこで, オキシダーゼ法への変更を検討した.その結果, デヒドロゲナーゼ法に比較して良好な検量線を得ることができ, 臨床性能上も同時再現性 (測定値のばらつき) が改善されるなどの利点が認められた.さらに1検体あたりの測定時間を従来の5分から4分へ短縮した.

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