日本食品工学会誌
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セラミック精密ろ過膜での無菌化ろ過による無加熱リンゴ果汁の開発
原田 三郎飯島 正石井 孝浩小山田 陽渡辺 敦夫
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2004 年 5 巻 3 号 p. 197-204

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抄録

加熱殺菌を行うことなく長期間保存が可能なリンゴ果汁製造方法の開発を目的として, セラミック精密ろ過膜 (MF膜) によるリンゴ果汁の無菌化ろ過について検討した.線速3.5m/s, 平均ろ過圧力0.20MPaでの操作条件で, 95%の膜透過果汁を得ることができ, このときの平均透過流束は約35 l・m-1・h-1であった.果汁処理後のMF膜は, 70℃の水酸化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムの混合溶液を用いて30分間洗浄することにより, 水透過流束を100%回復できた.
無菌化については, Byevundimonas diminutaおよびStreptococcus faecalisを用いたチャレンジ試験で対数減少値 (LRV) ≧13.0の高い分離性が確認された.
長期保存における色調の変化および官能検査の結果からは, MF膜による無菌化果汁は65℃で10分間加熱殺菌した果汁の品質と比較して高い評価のものであった.
これらの結果から, MF膜を用いてリンゴ果汁をろ過することにより高品質の無加熱無菌化果汁が製造できることが確認され, 本方法が実用上有効な手段であるものと判断された.

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