日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
乾燥前処理による乾燥野菜の復水特性と微細構造変化に対する影響
アクタス タルカン山本 修一藤井 幸江
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 5 巻 4 号 p. 267-272

詳細
抄録
野菜を熱風乾燥させて容量および重量減とともに安定性を向上させることは食品工業において重要である.凍結乾燥は復水特性の優れた製品を製造できるがコスト高となる.熱風乾燥においては望ましくない収縮や色の変化が生じることが多い.前処理により, このような望ましくない変化を避ける方法が検討されているが, その機構と乾燥中および乾燥後の特性についての検討は十分ではない.
本研究では, 糖溶液による前処理の乾燥野菜製品の品質変化について検討した.ポテトおよびニンジンのスライスサンプル (0.5mm厚さ) をブランチングしたのちにショ糖とトレハロース溶液に浸漬し前処理とした.この前処理したサンプルを323Kで熱風乾燥した.乾燥後の製品を298Kあるいは373Kの水に漬けて, 復水 (吸水) 過程を測定した.比較のために前処理しないもの, ブランチングのみ行ったものも使用した.
吸水過程は初期の急速に吸水する領域とその後の緩慢な領域とに分けられた.トレハロース浸漬処理がもっとも高い復水量を示した.顕微鏡による細胞観察ではトレハロース処理では細胞のダメージが最も少ないことが示唆された.また, 乾燥後の収縮の程度は, 無処理では激しい収縮が観察されたのに対して糖溶液処理では収縮が抑制された.トレハロース処理をした乾燥製品はほとんど収縮もなく細胞組織が保存されていた.また色調も良好であった.
著者関連情報
© 日本食品工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top