抄録
澱粉を多く含む炭水化物性食品のモデル試料として, 水を含ませて成形した澱粉球を, 高温空気から過熱水蒸気に至る広い気流湿度条件下で乾燥実験を行った.乾燥中の試料中心温度, 質量を連続的に測定することにより, 気流湿度が乾燥機構ならびに乾燥後の性状に与える影響について調べた.その結果, 低湿度条件では乾燥後の試料の形状に変化はみられず, 処理後の試料表面には澱粉粒が残存した.一方, 高湿度条件では, 処理中に破裂が起き、その時に質量と温度の急激な低下がみられ, 同時に形状は大きく変形した.さらに過熱水蒸気中では, 表面付近は発泡状態となった.また, 本実験における気流湿度条件を図表上で示し, 露点温度などの気流特性とその推算方法を示すとともに, 試料初期温度, 沸点温度, 露点温度, 気流湿球温度, 気流乾球温度, 澱粉糊化温度の関連を整理し, 食品の乾燥や加熱処理におけるこれらの温度の相互関係とその重要性を示した.