日本食品工学会誌
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ベキ乗則型混合則をもつ一般n次反応過程の観測量増大曲線における変曲点
山本 寿
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2007 年 8 巻 4 号 p. 249-256

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抄録
食品素材の複合あるいは反応系を理論的に取り扱うためには, 熱的, 電気的あるいはレオロジー的な観測量の混合則についてのモデル化が必要である.典型的なモデルは直列, 並列そして乱雑型であり, それらをここではべキ乗則モデルに拡張する.前回の報告で著者は, 一般的な観測量0がベキ乗則型の混合則οv= (1-x) οR+xονP (οR<οP) を通して反応度x≡ [P] / ( [R] + [P] ) と共に増大する1次反応過程における観測量οの速度論を展開した.本論文では, 同様の議論を, 一般のn次反応過程dx/dt=Kn (1-x) nにおける観測量増大曲線の変曲点について実行し, 以下の結果を得た.ν≧1の場合, 任意の正値nについて0-t曲線は常に (ο<οP) 凸型である.nが正整数に制限されるとき, ο-t曲線は, -1<ν (≠0) <1の場合には小さいn (=1, 2…) の値について, ν≦-1の場合にはn=1についてのみ, 変曲点をもち得る.ν<1の場合, 変曲点での観測量の値はο*= ( (1-ν) / (1- (1-n) ν) ) 1/νという公式で与えられ, そこでの増大速度do/dtは, n≠1の場合, οR/οPに依存する.ベキ乗則についての上記結果はν→0の極限で対数則 (乱雑モデル) についての結果と一致する.逆数観測量ο-1は, 任意の正整数nについて, 凹型の性質を保って減少する.
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