日本食品工学会誌
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リグノセルロース系バイオマスの水熱分解過程における金属溶出挙動
熊谷 聡太田 真由美中野 寿美林 信行坂木 剛甲斐田 泰彦
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2008 年 9 巻 2 号 p. 109-114

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抄録
著者らは, 高温高圧状態でかつ液体状態の水, すなわち加圧熱水を反応媒体としたリグノセルロース系バイオマスの糖化方法について研究を行っている.その中で, バイオマスを200℃付近の加圧熱水で処理することにより, ヘミセルロースが選択的に糖化され, とくにヘミセルロースが広葉樹や稲わら, 麦わら, 籾殻のようにキシラン系であるものからは, キシロオリゴ糖が得られることが明らかとなった.
しかしながらバイオマス中には, ヘミセルロースのような有機質だけでなく無機質 (金属) も含まれており, 加圧熱水処理により得られた糖化物を食品関連素材として利用することを考えた場合, 金属のなかには有害なものがあることから, その溶出挙動も併せて調べる必要がある.
そこで, 本論文では, バイオマスの一例としてモミガラを原料とし, パーコレータ型反応器を用い, 200℃までの加圧熱水で処理し, 溶出される金属の挙動について調べた.
その結果, 重金属, アルカリ土類金属, ヒ素の溶出に関しては, まず室温処理で籾殻表面の遊離性金属が溶出したのち, 一旦減少し, 温度が上昇するにつれて, 再び溶出しはじめ, 熱水温度が200℃に達した第4フラクションまたは第5フラクションで最大値をしめした後, 漸減する傾向を示すことがわかった.
一方でアルカリ金属, リン, ホウ素, アルミニウムの溶出に関しては, 明瞭な温度依存性が認められず, 時間にのみ依存して少しずつ溶出する傾向を示すことがわかった.
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