日本食品微生物学会雑誌
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原著
国産および輸入食肉におけるEnterococcus faecalisEnterococcus faecium の汚染状況および分離株の病原遺伝子保有状況
石崎 直人柴田 幹良金子 誠二甲斐 明美山田 澄夫
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2007 年 24 巻 2 号 p. 94-99

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抄録
市販食肉に分布する腸球菌の病原因子保有状況を把握するために, 東京都内で購入した国産食肉153件および輸入食肉36件, 計189件を対象に調査を行った. E. faecalis は国産食肉から113件 (73.9%, 192株), 輸入食肉から26件 (72.2%, 50株), E. faecium は国産食肉から13件 (8.5%), 輸入食肉から3件 (8.3%) 検出された.
分離株につき, ゼラチナーゼ遺伝子 (gelE ), 凝集物質遺伝子 (asa1 ), cytolysin遺伝子 (cylA ) およびenterococcal surface protein遺伝子 (esp ) の検出をPCR法にて行った. その結果, 病原遺伝子保有E. faecalis は国産食肉では97件 (63.4%), 輸入食肉では26件 (72.2%) から検出された. 一方, 病原遺伝子保有E. faecium は国産食肉1件 (0.7%) から検出されたのみであった.
E. faecalis において高率に保有していた病原遺伝子は国産, 輸入食肉共にgelE (77.1% vs. 78.0%), 次いでasa1 (50.5% vs. 76.0%), cylA (13.0% vs. 20.0%), esp (5.7% vs. 12.0%) であった. cylA またはesp 遺伝子を保有するE. faecalis 株は, 全株とも他の病原遺伝子を同時に保有し, その保有パターンは臨床由来株と同様であった.
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© 2007 日本食品微生物学会
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