日本食品微生物学会雑誌
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原著
二段階増菌による輸入鶏肉からのカンピロバクター分離法の検討
小野 一晃安藤 陽子柳川 敬子中川 俊夫
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2007 年 24 巻 3 号 p. 130-133

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抄録
市販の輸入鶏肉からカンピロバクターの分離を行ったところ, Preston培地を用いた場合に26/100検体 (26.0%), Bolton培地を用いた場合に13/100検体 (13.0%) から菌が分離された. 雑菌に対して抑制の弱いBolton培地は, 増菌培地に肉を残したままの培養には適さないことが示唆された.
24時間増菌培養後にPreston培養液の1ml を新たなPreston培地 (10ml ) に接種した二段階増菌では, 菌分離率は42.0%まで増加し (p<0.05), 他方, 1ml をBolton培養液からPreston培地に接種した場合には菌分離率は33.0%まで増加した (p<0.05).
輸入鶏肉のように冷凍保存された検体では, 凍結・解凍過程において, 食品中でカンピロバクター菌数の減少が想定されることから, 検体の乳剤全量をBolton培地で前増菌 (24時間) 後, 培養液の一部をPreston培地に接種する, 二段階増菌法が有効であることが示唆された.
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© 2007 日本食品微生物学会
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