日本食品微生物学会雑誌
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Epidemiology
市販されているエビ,シャコおよび穴ジャコにおけるVibrio vulnificus の汚染状況,血清型別および薬剤感受性
大仲 賢二古畑 勝則原 元宣福山 正文
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2011 年 28 巻 4 号 p. 232-238

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抄録

Vibrio vulnificus 感染症に関する基礎的研究の一環として,甲殻類における本菌の汚染状況,血清型別および各種抗菌剤に対する薬剤感受性試験を検討した.甲殻類4,769例について本菌の分離を試みたところ,328例(6.9%)から分離された.その内訳は,シャコが1954例中272例(13.9%)と最も多く,次に穴シャコが434例中22例(5.1%),エビが2,381例中34例(1.4%)であった.地域別における分離状況では,12県中10県(83.3%)から分離され,宮城県が40.0%と最も多く,次に鹿児島県が20.8%であった.しかし,香川県と福井県からは1例も分離されず,地域間に差が認められた.血清型別状況では,供試した328株中208株(63.4%)が14菌型に型別され,O19が13.7%と最も多く,次にO16が9.1%,O14とO23が各7.3%などであった.薬剤感受性試験結果をMIC90値で比較すると,CPFXが最も低く,次にMEPM,MINO,TC,DOXY,CPおよびNAの順にMIC値を示し全株が感受性を示した.しかし,LCM,CMZ,KM,AMK,ABPC,PIPC,CER,CET,CPZ,GM,CTXおよびLMOXでは高いMIC値を示し,耐性株が多く認められた.

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© 2011 日本食品微生物学会
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