抄録
1980年から1990年の間に発生したサルモネラによる腸炎のうち集団発生事例4例および家族内で発生した事例8例から分離された8血清型72菌株のプラスミドプロファイルと薬剤感受性について調査を行った. プラスミドは6事例42菌株に認められた. 同一事例内におけるプラスミドプロファイルは同一かもしくは類似しているものと, まったく異なる泳動パターンを示すものが認められた. これらのうち, プラスミドの泳動パターンが同一かもしくは類似している事例では単一クローンによる感染源が考えられた. また, 薬剤感受性試験では同一パターンであってもプラスミドプロファイルでは2群に分類された事例がありこれは異なるクローンによる混合感染が示唆された. 薬剤感受性試験において72菌株中20株は多剤耐性を示したが接合伝達性のあるRプラスミドは検出されなかった.