日本食品微生物学会雑誌
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食肉製品の変敗, 酸敗原因菌として分離された乳酸菌に対する亜硝酸ナトリウム, 乳酸ナトリウムの増殖抑制効果
鮫島 隆竹下 和子三木 為雄有原 圭三伊藤 良近藤 洋
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1997 年 13 巻 4 号 p. 159-164

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抄録
食肉製品の変敗・酸敗原因菌として分離された乳酸菌3株 (L. viridescens PSC-Y510101, L. mesenteroides PSC-Y539901, E. faecalis PSC-Y520101) に対する亜硝酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムの影響について, ソーセージの系で調査した.その成績は以下のとおりであった.
1. 食肉製品中での乳酸菌の増殖速度は, 亜硝酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含まない系ではL. mesenteroidesが最も速く, 10℃ で9日目に生菌数は9.1×105cfu/gとなった.また, L. viridescensE. faecalisは, 保存9日目の生菌数はそれぞれ1.7×105 cfu/g, 7.4×104 cfu/gであった.
2. 亜硝酸ナトリウムを200ppm添加すると, いずれの乳酸菌も増殖は遅れ, 1.0×105 cfu/gオーダーに達するまでの期間は, 添加しないものに比べてL. viridescensでは9日, L. mesenteroidesでは4日, E. faecalisでは15日延長した.
3. 乳酸ナトリウムの添加量の増加に伴い, いずれの乳酸菌の増殖も遅くなり, L. viridescensとL. mesenteroidesの生菌数が1.0×105 cfu/gオーダーに達するまでの期間は添加しないものに比べて, 1%の添加で2~3日, 2%では8~9日延長された.一方, E. faecalisは1%の添加でも30日目になっても1.2×104 cfu/gであり, 2%の添加では30日間生菌数の増加は認められなかった.
4. 亜硝酸ナトリウムと乳酸ナトリウムを併用した場合には2%乳酸ナトリウム添加で
L. viridescensおよびL. mesenteroidesの生菌数の増加が顕著に遅れた. E. faecalisは, 乳酸ナトリウムの1%添加で30日間保存しても生菌数は1.8×102 cfu/gであった.
5.供試したソーセージの残存亜硝酸根は42.3~46.2ppmであった.また, 乳酸ナトリウム含量は1%添加区で0.95~0.96%, 2%添加区で1.94~1.97%であり, pHは5.69~5.72であった.
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