日本食品微生物学会雑誌
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輸入イチゴジャムの汚染菌として分離されたEurotium halophilicumの生育性状
坪内 春夫宇田川 俊一宮部 正樹
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1999 年 16 巻 4 号 p. 231-236

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抄録

オーストラリアから輸入されたイチゴジャムを汚染していた白い菌糸状のカビは, 分離した菌株の生育性状, 形態およびこれまでにわが国において食品から分離・同定された3株との諸形質を比較検討した結果, 子のう菌類ユーロチゥム目のEurotium halophilicumと同定された.
E. halophilicumの子のう胞子の耐熱性は他の耐熱性菌に比し強くはないが, 60℃で3時間, 65℃で20分, 70℃ で2分の加熱処理では全く効果がなかった.65℃, 30分の加熱処理による生残率は4.5%, 70℃, 10分の生残率は2.4%, 80℃, 2分では1.1%であった.
E. halophilicumEurotiumの他種と違って白色の子のう果を形成し, しばしば, アナモルフのAspergillusが観察されないことがある.また, 好乾性が極めて強く乾燥食品や水分活性の非常に低い食品に発生するため, このような食品からの分離・同定にはM50YGA, MY50GAなど50%のスクロースを添加した寒天培地を使用するよう慎重な検査が必要である.
本論文の要旨は第20回日本食品微生物学会学術総会 (平成11年10月, 盛岡市) で発表した.

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