日本食品微生物学会雑誌
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食品中の志賀毒素産生性大腸菌O157迅速検査法としての5'-Nuclease PCR法の評価
大塚 佳代子土井 りえ斎藤 章暢柳川 敬子
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2003 年 20 巻 2 号 p. 69-74

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抄録

食品に存在するE.coli O157の5'-Nuclease (TaqMan) PCRによる迅速検出法を培養法, standard PCR法およびELISA法と比較検討し, 以下の結果を得た.
1.TaqMan E. coli O157:H7キット, TaqMan E.coli STX1キットおよびTaqMan E.coli STX2キットによるE.coli O157の検出は, 食品培養液1ml当たり102以上cfu (PCR反応当たり2~20cfu) で可能であった.しかし, Standard PCRの検出感度はTaqManPCRに比べ低く, 培養法は食品の種類により感度が異なった.また, ELISA法はC.freundiiと非特異的反応を示し, 特異性, 感度ともにTaqMan PCRに比ベ劣った.
2. TaqMan E.coli O157: H7キットによるTaqManPCRは, EPEC O55:H7に交差反応を示したことから, 標的遺伝子部位の異なる複数のTaqMan Detectionキットを用いて, E.coli O157検索を行う必要がある.
3. TaqMan PCRは, 食品の増菌培養に続く菌の分離操作が不要なため, 反応開始後3時間以内に結果が得られ, E.coli O157検査の迅速化が図られる.
4.TaqManPCRで算出されたE.coli O157菌数とCt値間に相関係数ほぼ1の関係が認められ, 食品に付着するE.coli O157菌量を定量的に推定しうることが示唆された.

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