日本食品微生物学会雑誌
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調理施設から採取された黄色ブドウ球菌のRAPD-PCR, BSFGEおよびPFGEによる遺伝子多型解析
岸本 満鈴木 匡弘森田 妃美子後藤 珠梨樫尾 一日置 祐一岡野 哲也小沼 博隆高見 澤一裕春日 文子
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2004 年 21 巻 3 号 p. 193-200

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抄録
学生の調理実習において, 実習生および調理器具, 施設から分離したS.aureus64株についてRAPD法, BSFGE法およびPFGE法 (CHEF法) による遺伝子多型解析を行い, 施設内での本菌の伝播実態を調べた.型別の結果から特定実習生の手指に保有していたS.aureusが使用包丁, 調理したサラダに拡散していることが推定された.また, カランとフライパンにも伝播が認められた.
RAPD法による型別では2つのプライマーを組み合わせにより11型に, BSFGE法およびPFGE法では12型に区別することができた.また, BSFGE法とPFGE法型別では両者は完全に一致したが, RAPD法とPFGE法による型別で8型 (73%) は一致したが残りの型は不一致であった
RAPD法はPFGE法に比べ識別能では劣るが, 迅速性および簡便性の特徴を有しており, S.aureusの汚染源調査などに十分に活用できると考えられる.
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