日本食品微生物学会雑誌
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リンゴ青カビ病菌Penicillium expansum O-385-10が生産するグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの精製と果実の褐変化を含む諸性質
金 賢雄木村 聡一郎大野 信子岡留 美穂高橋 治男天知 誠吾篠山 浩文藤井 貴明
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2005 年 22 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

リンゴ青カビ病菌enicillium expansum O-385-10のグルコースを利用しての生育は著しく不良であった.この培養において, 本菌はグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを生産し, 培養液中にグルコン酸を蓄積した.そのため培地pHの低下に伴う生育不良が生じたものと考えられた.炭酸カルシウム添加により培地pHを中和した本菌の培養から, グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを電気泳動的に単一なまでに精製した.精製したグルコースオキシダーゼは分子量約130kDaのホモダイマー酵素で, カタラーゼは分子量約300kDaのホモテトラマー酵素であることがわかった.これらの酵素は, pH3においてもそれぞれ約80%と50%の活性を示していた.また, カタラーゼの活性は1mMのCa2+とBa2+イオンにより著しく賦活化された.これらの精製した酵素をリンゴ果実試料と同時にインキュベートすると, 果実が著しく褐変化された.

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