2014 年 78 巻 2 号 p. 75-85
近年まで同一種と見なされていたツマグロスジハゼ,スジハゼ,モヨウハゼは日本列島周辺の内湾域に広く高密に生息しており,内湾域を利用する多くの魚食性魚類の重要な餌資源である.これら3種の成長・繁殖特性を明らかにすることを目的とし,京都府舞鶴湾において3種を定期的に採集し体長組成や生殖腺指数などの季節変化を調べた.その結果,3種はともに春から夏に生まれ,約2ヶ月間の浮遊仔魚期を経て夏から秋に着底し,翌年に産卵に参加した後,多くの個体が約1年で寿命を終えることが分かった.一方,成熟サイズと産卵期の長さでは種間差があり,ツマグロスジハゼとスジハゼに比べモヨウハゼの成熟サイズは小さく産卵期が長期に及んだ.3種の生息域が水深や開放性の点で異なることから,これらの成長・繁殖特性の種間差は産卵場の水温とそれに対する繁殖生理反応の違いに起因し,仔魚の好適な環境への遭遇率の違いに関わっている可能性が考えられる.