大阪湾において2012–2014年の8–10月に出現したウシノシタ科稚魚について形態および分布を調査した.調査ではイヌノシタ,アカシタビラメ,ゲンコの3種が採集された.イヌノシタは背鰭,臀鰭鰭条数で他2種と識別され,鰭条数範囲が重なるアカシタビラメとゲンコは左眼と口の位置関係,有眼側の黒色素胞の分布や眼径により識別が可能であった.最小サイズは,イヌノシタで標準体長(以下,SL)9.6 mm,アカシタビラメ7.2 mmSL,ゲンコ11.0 mmSLで,アカシタビラメは他2種に比べ10 mmSL未満の割合が高く,着底サイズは3種の中で最も小さい10 mmSL未満と推定された.イヌノシタ稚魚は主に8, 9月に湾中央部の水深20–30 mに,アカシタビラメ稚魚は主に10月に湾北部の水深10–20 mに,ゲンコ稚魚は主に10月に湾全域の水深10–30 mに分布する傾向がみられ,種により分布が異なった.