常磐南部~房総海域で漁獲されたマアジについて,生殖腺重量指数(GSI)による産卵期の推定,耳石横断切片による輪紋形成期の推定と年齢査定を行った.GSIの結果からは,成熟個体は6–8月にのみ出現していたため,この期間が本海域の産卵期であることがわかった.1歳での成熟個体は確認されず,本海域では2歳で成熟することが明らかになった.一方,耳石の縁辺成長率の推移から,本海域のマアジの輪紋形成期は5–9月と推定され,GSIから推定された産卵期とほぼ一致した.これらの結果に基づいて,7月を年齢起算月として漁獲時点での年齢と尾叉長からvon Bertalanffyの成長式にあてはめたところ,Lt=29.4(1-e-0.38(t+1.08))(0.33≤t≤19.67)となった.本海域のマアジは熊野灘以西の海域と比較して成長が遅く,高齢魚が多い傾向にあった.本海域はマアジの適生息水温を下回る期間が長いことから,低水温環境が低成長,高寿命と関連している可能性が示唆される