水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
原著論文
三河湾の小型底びき網漁場におけるバカガイの成熟年周期と殻長組成
川村 耕平山田 智中嶋 康生服部 宏勇成田 正裕平澤 康弘
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2019 年 83 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

三河湾の小型底びき網漁場におけるバカガイの資源管理のため,2017年2月から2018年2月にかけて採集された個体の成熟年周期と殻長組成を調査した.成熟個体は主に4月から7月に得られた.生殖腺は8月以降退行し始め,11月から翌2月に得られた個体の大部分が回復期の段階にあった.これらの結果から三河湾におけるバカガイの産卵期は4月から7月であると考えられた.殻長組成に基づくコホート分析の結果,2017年2月から5月に得られた個体は,大部分が漁獲可能サイズの殻長40 mmを超えていたが,9月には殻長30 mm未満の新規個体群の加入が認められた.新規個体群の割合は9月から11月にかけて増加した.新規個体群は急激な成長を示し,2018年2月には大部分が漁獲可能サイズに達した.これらの結果から,春から初夏にかけて着底したバカガイ初期稚貝は,1年以内に漁獲可能サイズに達すると考えられた.

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© 2019 一般社団法人 水産海洋学会
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