2019 年 83 巻 1 号 p. 10-18
八丈島周辺海域におけるメダイの資源動向および黒潮流路が漁獲量に与える影響を調べた.一般化線形モデル(GLM)による解析の結果,年,月,黒潮流路が漁獲量に影響し,また操業隻数および黒潮流路が漁獲効率(操業隻数あたりの漁獲量)に影響することが示唆された.GLMの年の係数がメダイの資源動向を反映すると仮定すると,減少傾向にはないことが示唆された.漁獲効率は操業隻数の増加に伴って向上し,その要因として漁場探索の効率化が考えられた.操業隻数の増加による漁獲効率の向上効果は,黒潮が八丈島の南側を通過するC型流路の方が非C型流路よりも高く,C型時に半月間の操業隻数が13.3を超えると非C型よりも漁獲量が増加することが示された.C型に移行すると深層の水温が低下して適水温の深度が上昇することから,漁場が浅層に形成されて潮流の影響が緩和され,さらに一度の操業に要する時間の短縮によって漁獲効率が向上すると考えられた.